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究といえよう。

3 北川たち論文「早朝練習後に見られる心拍亢進に関する生理学的検討」

本研究では、前報で報告された早朝練習後の心拍亢進の生理学的背景を検討しようとした。早朝1時間の55%Vo2max強度の自転車こぎ運動によって、6時間後まで心拍の亢進が見られ、酸素摂取量、最大血圧、直腸温、血漿量の変化率、乳酸、カリウム、アドレナリンは運動直後に増加を示して、その後は減少し、アルドステロンは運動後に有意に減少したが、その後増加し、午後3時まで増加し続けたという結果を得ている。しかし、これらの結果が心拍亢進にどのように関わっているかということは明らかにできなかったという。
心拍亢進の原因を説明するに至っていないのは残念であるが、これまでに明らかにされていない早朝練習の意義の解明にアプローチしようとする意欲的な研究であるので、今後の進展を期待したい。

4 吉田たち論文「競技水準の違いによる活動量および体力の差」

本報では、競技力の異なる高校女子バレーボール部の活動量と体力を比較検討している。練習頻度は、競技力の高い(東京都8位以内)B校で6日/週、競技力の低いK校で4日/週であった。1回の練習時間は、B校で約3時間、K校で約1時間であり、その際のエネルギー消費量は、前者で296.6kcal、後者で237.4kcalであった。両校において、使いすぎによる障害を持つ生徒は見られなかった。体力面では、形態については両者に有意な差はなく、機能的にはいくつかの要素でB校が有意に大きかった。
この報告は、対象とした競技力の高いバレーボール部の練習量は一般的な部に比べて大きかったが、その量は極めて大きいというほどのものではなかった。そして、この程度の練習量であれば、部員に障害をもたらすことはないことを示唆している。競技水準の高い運動部の中にも、活動量がそれほど多くない例があることを示したという点で注目してよい報告であろう。

5 田中たち論文「中学生女子中長距離選手のクラブ活動中の生理的負担度」

本研究は、昨年の男子中学生についての同テーマの報告に続く女子中学生についてのものである。クラブ活動中の走行距離とラップタイムおよび心拍数を1週間にわたって記録し、あらかじめグランド走から求められた血中乳酸値とスピードおよび心拍数との関係式を用いてトレーニング中の運動強度と身体活動量を定量し、これを女子大学生陸上競技部長距離選手の値と比較している。その結果、中学生の1週間のクラブ活動中の練習時間は

 

 

 

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